The Past ―過去― [1] |
Last Update:2004.10.28 |
広大な大地。限りなく広がる空。そして地平線の彼方へと続く海―――
人は、多くの歴史を、この雄大なる自然の中に刻んできた。
―――ある、むかしばなしを、しよう。
遙か昔、二つの大国が国を共同統治していた時代。
「魔術」という、人知を越えたちからが存在した。
二国は互いに技術者を出し合って魔術研究施設を設け、
人は「魔術」の恩恵を受け、豊かな生活をしていた。
長い歴史の間で、二国の間に大きな戦争はなく、
人々は純粋に、この平和が長く続くと信じていた。
しかし、平和とはふとしたきっかけから崩れてしまう。
二つの大国もまた、望まぬ形で戦争を起こす。
長きに渡り続いた戦争は、6人の勇者の活躍によって、幕を引いた。
しかし、その戦争が文明に残した「傷」は大きすぎた。
一つの国は滅び、一つの国もまた国力を大きく削いでしまった。
人は限られた大地で戦争を恨みながら、ひっそりと暮らした。
そして、時が経つにつれ人々から「魔術」の存在は忘れられ、
魔術を宿した武器「魔法剣」は文明の瓦礫に埋もれた―――
魔術によって栄えた文明を一瞬で消し去った「魔法大戦」。
そしてその伝承から生まれた「伝説の七武器」。
その発生の経緯は「両国間の些細ないざこざ」とされた。
詳しい研究をしようにも、残された資料はとても限られていて、
いつしかそれを研究する研究者の数も、減っている。
「ゆめのおはなし」のような伝承を、信じなければならない。
―――でも。
「もし、その伝承の中に秘密が隠されていたら?」
―――そんなことを、誰かが考えたことがあっただろうか。
少なくとも。
そのころの俺は、そんなことは夢想もしていなかった―――
―――ましてや、俺自身の運命がそれに関わっていたなんて―――
「親父ー! お袋ー!」
黒煙立ち上る村を走る、若者が一人。
村に住むその若者がつい数時間前まで見ていたのどかな光景。それが想像もできないほどに壊され、火事が起こっているのか各所から黒い煙が立ちこめている。
「兄貴ー! 爺ちゃんー!」
なおも見知る人の名を叫び続けるが、一向に返事はない。
村をある程度廻ったが相変わらず返事はない。
そのまま走り続けていると広場に出た。ここにあった綺麗な噴水も、今は跡形もない。
そこに、若者が一人、近くの壊れていない椅子に腰掛けていた。
「どうだ?誰か生きてる人は居たか?」
言われた若者は、静かに首を振る。その動作が、ひどくゆっくりなものに、彼は思えた。
「・・・どうやら、生き残ったのは村を離れてた俺達だけらしい。」
「皆殺しかよ・・・! くそっ―――」
何もできなかった無力感。白昼に起こった惨劇。
若者は自らへの自責の念を抱き、彼は平和な村を襲った何者かを憎んだ。
「―――とりあえず、無力感に浸ってても何も始まらない。
村のみんなを・・・せめて生き残った俺達が弔ってあげようぜ。」
「・・・あぁ。」
そう言うと、二人はおのおのの自宅の方へと歩いていく。
力無く死んでいった者達を清めるためだろうか。灰色に曇った空から、雨が降り出していた―――
「―――親父、お袋、兄貴、爺ちゃん。」
壊され、原形すら留めていない自宅で、彼らは見つかった。
―――何も語らない、骸と化した状態で。
「悪ぃ、俺が居なかったばっかりに・・・」
自分がいれば生き延びていたかもしれないと思うと、自責、無力の念が改めてこみあがってくる。
せめて自分が弔ってやらないといけない。それが家族への、今出来る唯一の孝行―――
家族を弔うための場所を探していると、そばに剣が2本、突き刺さっているのが目に付いた。
何かと思って近づいて見てみると、それは一般的な剣よりは小振りであるものの、双剣であるようだった。
「・・・奴らの残していった物だろうか?」
そう思って、剣を引き抜いてみる。外見によらず、意外に軽い。
何だろうと思って周りを見渡していると、突如、剣が光り出す。
「・・・な、な?」
彼は、突然の事態に驚いたが、剣から発せられていた光はやがて収まった。
そして、そのそばに空を飛ぶ発光体が、一つ。
「・・・こんにちは、マスター。」
発光体―――女性の妖精のような姿をした―――は、彼に丁重に挨拶をする。
何が起こったのか事態が全く飲み込めない彼だったが、一つだけ分かったことがあった。
―――「この双剣は、ただならない『力』を持っている」ということ―――
取り敢えず挨拶を返そうとした、刹那。
遠くで聞こえた先程の若者の叫び声と、銃声。
彼は無意識のうちに走り出していた。
これ以上、自分の大切な物は失いたくなかった―――
あとがき
始まりました、Darkness Distiny 〜暗黒の運命〜。
いきなり話が暗黒面ですが、これからの上で必要なので勘弁して下さい(ノД`)
さて、読んでて疑問に思ったところがあるかと思います
つか、そういうふうに作ってるのでたぶんあると思います。
そこは追々話の中でゆっくりと明らかになっていくので、気長に読みながらお待ち下さい。
決して私の腕が悪い訳じゃありません。いや、私の実力は大したこと無いからでしゃばってるんですが(´・ω・`)
かなり伏線はっててぶっちゃけ憐崎も分からなくなりかけてきているのが少々痛いところ(ダメじゃん)
序章はここまで、次は本編となります。
時間軸云々、ストーリーを推理してみるのも面白いかも知れません(マテ